現代社会において増加傾向にあるとされる「愛着障害」。同障害を抱えている人は、ただ生活しているだけで人よりも多くのストレスやトラブルを抱えてしまったり人間関係に悩みやすかったりと日々生きづらさを感じているケースが多いと言われています。
一方で「愛着」と言われてもどこか漠然としていて実態が把握しづらいのも事実。
そこで今回は愛着障害に関する名著である『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』をご紹介します。
参考:『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田尊司著 光文社新書
愛着障害とは?親子関係からはじまる人間関係の土台
端的に言えば、愛着とは「人と人との絆」です。愛着は幼少期に親とのあいだで形成されはじめます。人が他人に対し親しみや安心感、信頼感といった感覚を抱くことができるのは偏(ひとえ)にこの愛着の働きにほかなりません。
逆に愛着が正常に形成されていない場合は、良好な人間関係を築くことが困難になってしまいます。この状態が愛着障害と呼ばれるものです。
愛着障害を持つ人は社会のなかで生きづらさを感じやすくなる
愛着障害の人は社会のなかで生きづらさを感じやすくなってしまいます。
それは愛着が人に対する安心感や信頼感といった感覚のみならず、
・なにを好みどんな進路を選択するのか
・ストレスを感じた際にどのような反応をするのか
といった無意識の行動にも影響を与えるためです。
愛着障害がある場合、こうした無意識の反応や行動が人間関係を破壊、あるいは避ける方向に向かいやすいことは非常に厄介な点と言えるでしょう。しかも無自覚の行動であるため、本人にとっては原因不明な生きづらさを抱え続けることになってしまうのです。
『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』はこんな本
今回紹介する『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』は精神科医である岡田尊司氏による書籍です。
医学的な内容ということもあり情報量が多く一見難しそうに思えますが、具体的な症状や事例が豊富に挙げられているためイメージが容易で、全体的にとてもわかりやすくまとめられています。
愛着障害になる原因からその克服方法まで、この一冊を読むだけで大まかなことが理解できるまさに入門書と言える本になります。
『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』はこんな人におすすめ
『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』は、
・得体の知れない生きづらさを抱えている人
・どこにいても人間関係が上手くいかない人
・親子関係に悩みがある人
などに特におすすめです。
合理主義が進む現代社会では愛着の問題を抱える人々が増加していると言われています。そのため上記に当てはまらない方でも、興味があれば一読してみることをおすすめします。
『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』3つのおすすめポイント
最後に『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』の注目すべきおすすめポイントをご紹介します。
生き方を決定づける愛着スタイル
愛着がどのように形成されているのかは、その人の無意識の行動や考え方のパターンである「愛着スタイル」と呼ばれる行動様式に注目することで判断することができます。
愛着スタイルは愛着の問題を考えるうえで大切なポイントです。同書は具体的な例を挙げつつ解説してくれています。自分自身に当てはめながら読むことができるため、非常にわかりやすい構成であると言えるでしょう。
偉人と愛着の問題
『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』では、愛着障害について実例を挙げながらわかりやすく解説しています。
なかでも愛着障害が疑われる偉人たちに関する分析は、愛着障害を抱えるようになる過程がわかりやすくまとめられているため理解を助けてくれるでしょう。オバマやチャップリンといった海外の偉人のほか、夏目漱石や川端康成といった日本人にもなじみ深い人物の事例と分析が数多く取り上げられている点はそれだけで一読に値します。
愛着障害になる原因を知る
タイトルの通り、同書は愛着障害について徹底的に書かれた本です。当然その原因についても事細かにに分析・解説されています。
生きづらさを抱えている人にとっては自身の過去と照らし合わせてハッとする箇所が多いかもしれません。
生きづらさの原因は幼少期にある?『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』まとめ
以上、『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』を駄文で紹介してきました。
愛着の問題は目に見えづらく、どこか漠然とした印象を受ける方が多いかもしれません。しかし同書を読み進めていくうちに、人生における様々なトラブルやストレス、生きづらさの根底には愛着の問題が深く関わっているのかもしれない、と気づかされます。
自分だけでなく身近な人を理解することにも役立つので、少しでも興味の湧いた方はぜひ一読してみてくださいね。