【アイデンティティとは】意味やアイデンティティの確立について簡単に解説

アイデンティティとは

アイデンティティの確立」は人が自立するための重要な課題と言われています。

ですがアイデンティティの意味や定義を問われると上手く答えるのが難しいものです。

そんなアイデンティティの意味や確立について簡単に解説していきます。

アイデンティティとは「自分が何者であるのか」という”実感”

アイデンティティidentityとは「わたしはわたしである」とか「わたしはわたしらしく生きている」といった確信に近い感覚である。

朝日新聞コトバンクより

精神分析学者のエリクソンが提唱したアイデンティティ=(自我)自己同一性とは、自分が何者であるのか、という実感のことを言います。あくまで「実感」というのがポイントになります。

定義が若干曖昧な言葉ですので、weblio辞書からも引用します。

あるものが時間・空間を異にしても同じであり続け、変化が見られないこと。

1.物がそれ自身に対し同じであって、一個の物として存在すること。自己同一性。

2.人間学・心理学で、人が時や場面を越えて一個の人格として存在し、自己を自己として確信する自我の統一をもっていること。自我同一性。主体性。

weblio辞書より(出典:三省堂)

大切なのは、 時や場面を越えて一個の人格として存在し、自己を自己として確信する 、という箇所です。

つまり「いついかなる時も一貫して自分は自分であるという自信を持っている」ことが「アイデンティティがある」状態なのです。

自分自身を定義付けすることは不可能

実のところ、どんな時でも、どんな場面でも、自分が自分であると確信できる人はあまりいないのではないでしょうか。

もしある日突然職や住む場所を失ったとしたら、あなたは自分が何者であると感じますか?

無職?ニート?ホームレス?

例え他人がどう表現しようとも「時や場面を越えて一個の人格として存在し、自己を自己として確信する」という定義がある以上、全て違います。どれも状態を表す言葉に過ぎないからです。

したがって職業や財産のような時や場面に応じて変化するものをアイデンティティと呼ぶことは出来ないと言えます。

また性格や考え方、興味の対象なども時の流れや環境の変化に合わせて移ろいやすいものです。

こうして見るとアイデンティティというものがますますわからなくなってしまいますが、それで良いのではないでしょうか。

エリクソンが「確信に近い感覚」と表現したように、アイデンティティとはあくまで言葉に出来ない感覚なのです。

それを踏まえると「自分はこういう人間である」といった定義付け自体が不可能であると言えます。

むしろ「これが自分だ」と言い切ってしまうことは、自分を縛る鎖を創り出してしまうことに繋がります

自分が何をしたいのかわからない”症状”

何がしたいのかわからない

アイデンティティの形成に失敗した場合、同一性拡散という状態に陥ります。

同一性の拡散が起こると、

・自分が何者で何を望んでいるのかがわからなくなる

・対人関係の距離感がわからなくなる

・時間の感覚が欠如してしまい、やらなければならないことを先延ばしにしてしまう

・非行や無意味なことに没頭するなど自己破壊的な行為に走る

・無気力になる

などの症状が現れます。

同一性拡散は青年期だけの問題ではなく、長い人生の中でアイデンティティが揺らぐたびに起こります。

エリクソンはそれが起こりやすいタイミングを年齢で8つに分けています。

そう考えると、アイデンティティは加齢や環境の変化に応じて何度も構築し直すものであると言えます。

社会の中で生きるアイデンティティ

社会で生きるためのアイデンティティ

アイデンティティの感覚は他者によって支えられているもの

朝日新聞コトバンクより

エリクソンは他者がいるからこそアイデンティティの感覚が存在するとしています。

これは彼が「人間は社会の中で他人との相互作用によって成長していくものである」という視点に立っているためです。

もちろん他人や社会から与えられる心の支えや生活の支えといったものは、人間が生きるために必要不可欠です。

ですがそれらの支え、つまり自分以外の人や職業などを絶対的な拠り所としてしまうと、それがほんの少し揺らいだだけで自分を見失ってしまうことに繋がります。こういった他人本位の生き方は常に不安定なものになりかねません

アイデンティティとは「主体性」でもあります。逆説的ですが、主体性があるからこそアイデンティティを確立できると考えることもできるのです。

アイデンティティ確立のためには、まずは自分が何を望んでいるのか、そういった心の声に耳を傾けてみることが大切です。