【要約】漫画『ケーキの切れない非行少年たち』犯罪の裏に潜むもの

ケーキが切れない非行少年たち

2019年に出版された児童精神科医の宮口氏による著書『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)は、犯罪と知的障害の関係に焦点を当てた作品です。翌2020年に出版された漫画版は、コンセプトを引き継ぎながら読みやすい仕上がりとなっています。

医療少年院での勤務経験を持つ同作者は、凶悪犯罪を犯して収容されている非行少年たちのなかには、境界知能と呼ばれる知的なハンディを持つ者が多く存在すると指摘しています。更生以前の問題を抱える彼らの背景を描いた同書。

社会が見まいとしてきた問題に対し一石を投じた話題作の漫画版を紹介します。

『ケーキの切れない非行少年たち』あらすじと要約

ケーキを3等分できない

主人公である精神科医の六麦は、医療少年院に勤務しています。そこに収容されているのは「ケーキを3等分することができない」ような軽度の知的障害が疑われる非行少年たち。同書では収容者を診察する六麦による分析と、非行少年たちの苦悩が描かれています。

六麦や同僚の医師は、凶悪犯罪者とされている収容者たちからは、一見いたって普通の少年という印象を受けると言います。

ではなぜ普通の少年である彼らは犯罪を犯してしまったのでしょうか。

六麦は、彼らの多くは境界知能と呼ばれる、健常と知的障害のグレーゾーンに位置すると分析しています。

作中に出てくる非行少年は、「ケーキを正しく3等分することができない」他に、

語彙が乏しい」

「お世辞がわからず真に受ける」

「質問に対して斜め上の答えが返ってくるため会話のキャッチボールができない」

などの特徴が見られます。

このように知的なハンディを持っている彼らは、筋道を立てて考えたり、上手くコミュニケーションを取ったりすることを苦手としています

そのため何かあったときにどうしてよいのかわからずにパニックになってしまい、それが犯罪行為に繋がってしまうのです。

またそうしたマイノリティとしての背景ゆえに、幼少から周囲に理解者がいなかったことも重大な要因の1つだと考えられます。

知的障害と境界知能

知的障害グレーゾーン

同書によると、知的障害に該当する子どもはクラスに約1人の割合、ボーダーラインである境界知能にあたるのは約5人といずれもマイノリティです。境界知能はIQ70~85までの層で、1975年までは知的障害に該当していました。そのため幼少から家庭や学校での生活において困難に直面しやすいとされています。

同原作者による知的障害グレーゾーンについての書籍も出版されているので、興味のある方は参考にしてみてください。

漫画『ケーキの切れない非行少年たち』が描く社会生活が困難な人々

社会生活が困難な非行少年たち

少年院や刑務所に収容されている人々は、世間から憎むべき犯罪者として一括りにされています。

しかし社会で生きることが難しい彼らが罪を犯した背景を思うと何か考えさせられるものがあります。

無論、罪は罪ですが、その知的障害の傾向によって自身の感情でさえうまく表現することができない彼らは、果たしてどうするべきだったのでしょうか。

社会に対して一石を投じた同書は一読の価値があります。