【トラウマとは?】意味や症状、苦痛の原因など

トラウマとは?意味や原因、症状

トラウマとは心的外傷、つまり心に負った傷を指します。もともとは物理的な傷を意味する言葉ですが、フロイトの影響で現在では心の傷という意味で浸透しています。

文部科学省では以下のように定義しています。

その人の生命や存在に強い衝撃をもたらす出来事を外傷性ストレッサーと呼び、その体験を外傷(トラウマ)体験と呼ぶ

文部科学省ホームページより

トラウマと言えば一般的にトラウマ体験を指す場合が多いと考えられます。トラウマを負う原因となる外傷性ストレッサー、そしてトラウマによって引き起こされる症状について学んでいきます。

参考:

文部科学省ホームページ

厚生労働省ホームページ

『身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法』

トラウマを負う原因

トラウマの原因

トラウマとなる外傷性ストレッサーには以下のようなものがあります。

・地震や火災などの自然災害

・戦争や暴動などの社会的不安

・事故や犯罪被害など、生命の危機に関わる体験

・親しい人の死や別れなどの喪失体験

こういった出来事がトラウマとなり得るかどうかは、受け止め方や対処能力、その人の置かれている環境などによって個人差があります。したがって客観的に見て大したことのない出来事であっても、人によっては重大なトラウマとなることは十分に考えられます。

これらがトラウマ体験となり、そのために引き起こされた精神的な変調はトラウマ反応と呼ばれています。

トラウマ反応にも同様に個人差があり、一過性の軽いもので済む人もいれば、PTSD(外傷後ストレス障害)と呼ばれる精神的後遺症に悩まされる場合もあります。

トラウマ反応によって引き起こされる症状

トラウマによる症状

主なトラウマ反応として以下のような症状が挙げられます。

感情や思考の変化

現実を受け止められず茫然とする

不安や恐怖または怒りに囚われる

自分を責めてしまう

ネガティヴな感情に苛まれる

このほか、トラウマとなった出来事について考えることができなくなったり、逆に考えすぎたりする時期が交互に繰り返される場合が多く見られます。

また、過敏になる注意力が散漫になるなどの症状が表れるケースもあります。

身体の異常

不眠、動悸、めまい、頭痛や腹痛、発汗、吐き気などの身体症状が現れることがあります。

情緒不安定な行動

怒りっぽくなったり、突然泣き出したりする場合があります。

また、出来事を想起する場所を避けたり、塞ぎ込んで閉じこもったりすると思えば、安心を求めて近しい人や他人に依存するなど、両極端な行動をとることがあります。さらに過食や拒食、アルコールや薬物への依存も起こりやすくなります。

子どもの場合はさらに不安定に

子どもの場合は上述の症状がさらに強くなる傾向があります。

この要因として、子どもは感情を言葉で表現する能力が未発達であるため、代わりに身体症状や行動に現れやすくなっているのではないかと考えられています。加えてアイデンティティが確立されておらず、周囲の環境に左右されやすいことも一因です。

PTSD

下記のような症状が1か月以上持続する場合はPTSDが疑われます(1か月未満の場合はASD=急性ストレス障害と呼ばれる)。

フラッシュバックや悪夢などによるトラウマの再体験

交感神経系などの過活動による緊張状態(動悸や不眠など)の継続

始終ぼーっとしている、引っ込み思案になる、記憶力や集中力の低下、食事など生活全般にわたる活動の低下

トラウマ反応はなぜ起きるのか

トラウマの症状はなぜ起こるのか

トラウマ反応は危険に対する正常な反応

PTSDに到る場合は除き、トラウマ反応そのものは人間として正常な反応です。極度の危険に遭遇した際、自身の生命や存在を守るため身体に備わった防衛機能としてそういった反応が起こるようになっているからです。

ですが、ダメージが大きすぎる場合やトラウマの元となったものが生活環境に残っている場合などは、その反応がいつまでも終わらず、身体に不調が生じるようになります(=PTSD)

アドレナリン

人間には生命に危険が及んだ際に、アドレナリンなどのストレスホルモンを分泌して身体を「闘うor逃げる」状態にする機能があります。この反応は自身の意思に関係なく、反射的に行われます。そしてその後セロトニンなどの物質が分泌されることで、この緊張状態が抑えられます。

ところがトラウマを負ってしまった人はセロトニンが上手く分泌されないため、「闘うか逃げるか」という緊張状態が持続してしまいます。あまりにも強烈な体験だったために、既に去った過去の脅威に対し、脳が防衛し続けてしまうのです。

ストレスホルモンの分泌は命を守るための機能ですが、長期化すると負荷がかかり心身に様々な症状が現れてしまいます

症状が重い場合は専門機関の受診を

自力で学んだり、行動したり、あるいは周囲の人々の力を借りたりすることでトラウマを克服できる可能性があります。

しかしそれでもなかなか改善しない場合は専門機関を受診することが推奨されています。

脳科学の発展によりトラウマ対する治療は日々進歩しています。根本的な治療するためには専門機関に相談することも1つの手です。