これまで人間関係リセット症候群についていくつかの駄文にまとめてきた。
だが当事者、周囲の人々問わず多くの人が気になるのは「なぜ人間関係をリセットしてしまうのか?」という原因の部分だろう。
そこでこの記事では「人間関係リセット症候群になる原因」について「当事者目線」で考察していくことにする。
なお当事者目線と言いつつも主語が大きくなりがちな点についてはご容赦いただけたら幸いである。
人間関係リセット症候群になる原因
大胆かつリスキーな人間関係リセット症候群。こうした状態に陥ってしまう原因はどこにあるのだろうか。
外部要因と内部要因に分けてそれぞれ考察していきたい。
外部要因
突き詰めていくと、人間関係リセット症候群の外部要因はたった1つである。ずばり「インターネットの発達」だ。
これは私が「人間関係リセット症候群=ライトな失踪」と考えているせいもあるが、人間関係リセット症候群とはネットがあるからこそ起こり得る病なのである。
ではその「インターネットの発達」により生じた人間関係リセット症候群の原因を3つに細分化して見ていこう。
ネットの発達でしがらみとストレスが増えた
ネットの発達は世の中を便利にした一方で、24時間強制的に他人と繋がる環境を作り出してしまった。
以前なら家に帰れば完全なるプライベートの時間だったものが、今では常に他人との繋がりを意識させられる。
あるいは出かけてしまえば家庭とは別の世界に行けていたものが、やはり常に家族との繋がっている状態になってしまっている。
要はしがらみが増えたのである。四六時中続く繋がりが義務化されたと言ってもいい。
その状態に対し強いストレスを感じてしまうタイプの人が人間関係リセット症候群に陥りやすいのかもしれない。
昔なら自然と疎遠になっていたはずの関係が途切れなくなった
人は成長していく。すると当然価値観が合わなくなってくる。合わなくなったらどちらともなく離れていくのが自然の成り行きではないだろうか。
が、現代ではそれが難しい。上述のように、スマホに連絡先が入っている時点で繋がってしまっているからだ。
この感覚を不快に感じるとき、不意にリセットという言葉が頭を過ぎるのである。
互いの関係性が可視化されるようになった
常にスマホで繋がっている状態は別の問題を引き起こす。それは疎遠になったことが可視化されてしまう現象だ。
LINEやSNS(LINEもSNSの一種らしいが)などはその傾向が顕著であろう。
こうしたツールは便利な反面、相手にとって自分がどんな存在なのかが明確にわかってしまう。自分は親友と思っていたのに相手にとっては数多い友人の一人だった、というケースも珍しくはない。
気にするなと言われても気にしてしまうのが人間である。常にストレスを感じてしまうくらいなら、いっそすべて放り出してしまいたくなることもあるだろう。
内部要因
人間関係リセット症候群に至る内部要因は実に複雑多岐であることが予想される。つまり「人による」のだ。
だが今回の記事では私の実体験をもとに主語を大きくして語っていくことにする。
社会の変化による愛着障害の増加
『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』によると、現代社会では円滑な人間関係を築くことが困難になる「愛着障害」を持つ人が増えているそうである。
たとえば回避型愛着スタイルと呼ばれるタイプの人は、密な人間関係を避ける傾向にある。
逆に不安型の人は人に依存しがちで、浮き沈みの激しいジェットコースターのような人間関係に陥りやすいと言える。
ただのメンヘラおじさんである私が自分や他人が愛着障害であると決めつけるのことはできない。しかしこうした愛着の問題と人間関係リセット症候群とは無関係とは言えないのではないだろうか?
普段から我慢や演技が癖になり、不満や自己主張ができず相手に合わせてしまっている人が増えた
巷では「最近の若い者は」などと言われがちだが、実際は心優しい人が増えている。特に若者は昔に比べると他人を傷つける言動を避ける傾向があり、間違いなく素直になっている(少なくともリアルな社会では)。
その弊害か、普段から我慢や演技が癖になり、不平不満を言わず自己主張もせず相手に合わせてしまう人が増えているのかもしれない。
そうした長年の我慢の積み重ねがリセットに繋がるのは想像に難くない。
普段から自分がどうしたいのか、なにが嫌なのかなどしっかりとコミュニケーションをとることが重要と言えるだろう。
極端な思考
たびたび決めつけて申し訳ないが、人間関係リセット症候群の人は「0か100か」とか「白か黒か」とか「好きか嫌いか」とか、とにかく両極端な思考をするケースが多いのではないだろうか?さらに言えば「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の要領で、なにかが嫌ならそれに関連する物事すべてがストレスになってしまうことはないだろうか?
こうした極端な思考の癖は間違いなくリセットを誘発する。
世の中のほとんどのことは白でも黒でもない。アイボリーからグレーまでのどっちつかずな色合いなのである。
人間関係リセット症候群と極端な思考は無関係ではないはずだ。
劣等感から自分の現状を知られたくない
実は劣等感こそ人間関係リセット症候群の主たる要因なのかもしれない。
多様性が叫ばれながらもやはり「普通」という概念は存在する。
普通から外れてしまった場合、多くの人は劣等感を抱くのではないだろうか?
時々空想する。もし私が「普通」だったなら、過去に好きだった人々と今でも笑いあえるような仲だったのではないかと。
逆に言えば、「普通じゃない」からこそリセットが誘発されたと考えることができるのではないだろうか。
リセットする前提で人間関係を構築している
人間関係のリセットはクセになる。
新しい場所で新しい人々と出会うとき、頭の中に「リセット」という選択肢が浮かぶようになる。
いや、選択肢と言うよりもむしろ「そのうち終わらせる前提で人間関係を構築する」のが常になるのだ。
どこで誰と出会おうが最初からゴールはリセットと決まっているのである。
人間関係リセット症候群になる原因のまとめ
以上、拙い文章ながら人間関係リセット症候群に至る原因をまとめてきた。
それぞれ大雑把にまとめると、
外部要因・・・ネット社会の発達が深く関与
内部要因・・・他人を気にする心理が大きい
と言えるかもしれない。