2010年代後半頃、HSPという言葉をよく耳にするようになった(もはや記憶が曖昧だが)。
HSPとはアメリカの心理学者が提唱した概念で、「ハイリー・センシティブ・パーソン」つまり「とても繊細な人」を意味する。繊細、と聞くとイメージが限定されてしまいそうだが、「感受性が強い」「とても敏感」などとも訳すことができる。
ブームと呼ばれるほど報道された影響もあり、2024年現在では一般企業においても研修に組み込まれるなど、HSPに対する理解を深めようとする動きが見られる。
この記事ではそんなHSPについて基本的な情報をまとめておこうと思う。
HSPとは?
前述の通りHSPとはとても繊細な人を指す言葉である。
ではとても繊細、あるいは敏感とはどのような人のことなのだろうか。
その内容は個人差があるため曖昧になってしまうのだが、たとえば肉体面に関しては、光・音・匂いなどに敏感でそれらの強い刺激を受けると気分が悪くなってしまうといったことが挙げられる。
また精神的な面においても過敏性を有しているケースが多く、他人の感情の影響を受けやすい、羞恥心や罪悪感を抱きやすいという特徴が見られる場合がある。
ほかにも、
- カフェインに敏感
- 睡眠に関する問題を抱えやすい
- 人込みにいるとひどく疲れる
などといった特徴を持つ人が多い。
一言で表現するなら、「ストレスを抱えやすい人」「生きづらい人」と言えるかもしれない。
HSPのメリット
ここまでHSPがデメリットの塊であるかのように書いてしまったが、繊細・敏感というのは長所にもなり得る。
敏感というのは他人よりも感覚が鋭いと言い換えることができるからだ。つまりHSPは非HSPにはわからない物事に気がつくことができるのである。
また感受性の豊かさはクリエイティブさにも繋がる。
この特性を活かして成功を納めているHSPも多くいるはずだ。
HSPの問題
だがどれだけポジティブな表現をしたところで、現実のHSPは生きづらさを抱えている人の割合が圧倒的に多いだろう。
まず創造性を発揮できる仕事というのは現代社会には少ない。いや、厳密に言えば大半の仕事において創意工夫は重要になるはずだが、HSPの大半は事務処理や人間関係の面でダウンする可能性が高いのである。
冒頭で企業側もHSPを理解しようとしていると書いたが、理解されたところで現実問題過敏な特性はハンデになるケースが圧倒的に多い。生きているだけで人の数倍疲弊してしまうからだ。
その結果、HSPは睡眠障害、精神疾患、引きこもりなどといった状態に陥りやすい問題がある。
HSPの割合とブームの背景
ここまでHSPについて解説してきた。
だが、実はHSPとは医学用語ではなく造語である。
そう言ってしまうとHSPが一気にふわふわした存在に感じられるかもしれないが、HSPという概念がもたらした功績は大きい。それまで本人の弱さとして根性論で片付けられていた過敏性にまつわる問題を的確に言語化したからである。
そもそもHSPがブームと呼ばれるほど話題になった背景には、それだけ多くの人々が「自分はHSPだ」と感じたことが一因となっていると推測される。HSPは人間全体の20%、つまり5人に1人は存在するとされているので相当数いることは当然である。
実際、上述のHSPの特徴の例を見て自分に当てはまると考えた人は少なくないだろう(このブログの読者が少ないのはさておき)。
それは今まで見過ごされてきた問題が可視化されたためかもしれない。
一方で、そもそも現代社会がHSP判定されやすい環境=ストレス過多社会であることを表しているとも考えられる。本来はHSPグレーゾーンとでも言えるような中間に位置する人々でも、日々感じるストレス量が閾値を超えてしまっているためにHSP同様の問題が発生しているのではないだろうか。
HSPの生きづらさを軽減するために
ここまでHSPとはなにかというテーマで簡単に説明してきた。
おそらく、HSPのほとんどは日々生きづらさを感じていると思われる。そもそも生きているうえで問題がないのなら大して話題にならないはずである。
私はただのメンヘラなので曖昧かつボンヤリした知識でしか語れないが、最後にHSPが生きづらさを克服していくためにどうしたらいいのかを考えていきたいと思う。
最近は相談できる医療機関が増えている
近年はHSPについて相談できる医療機関が増えているようだ。専門家の力を借りる場合、基本的には精神科や心療内科へ行くことになる。
そこではどのような対応をしてくれるのだろう?(繰り返しになるがあくまで素人メンヘラによる解説であることを念頭に置いて欲しい)
先にHSPは医学用語ではないと述べた。そのため医療機関では、HSPを医学の目線で深堀していくことが多いようだ。つまり繊細・敏感といった特徴の裏に、障害や精神疾患、過度のストレスなど、医学的な問題が潜んでいないかを調べていくのである。
もちろん医療機関によって対応の違いはあるものの、サポートしてくれることに変わりはないので、HSPの特性に悩んでいる方は助けを借りるのも悪い選択ではないはずだ。
書籍を読んで理解を深める
病院に抵抗がある人も多いだろう。
そういった場合はHSP関連の本を読んでみるのがおススメだ。
HSPの基本的な特徴~生きづらさを改善するためのアドバイスまでを一纏めにした定番のものだけではなく、HSPを医学的に分析しているものもあり、様々な角度からHSPを知ることができる。
また、偉大な作家のなかにも明らかにHSPと呼べるような気質を有している人物がちらほらいるので、そうした人々の書いた作品を読んでみるのも生きるためのヒントとなる可能性があると言える。
自分のペースで生きられる環境を整える
ラストは「自分のペースで生きられる環境を整える」だ。
そんなことができたら誰も苦労はしないのだが、やはりこれが一番大切なことだと私は考えている。
完璧は無理でも、できるところからコツコツと改善していくうちにいつの日か自分にピッタリの生き方が見つかる可能性があるからだ。
世間の普通に囚われず、自分らしい生き方をすることがHSPの生きづらさ改善のカギになるのではないだろうか。